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法人/個人事業主の破産

 

法人,個人事業主の破産について,個人の破産手続きと比べて,以下で述べるような特殊性があります。

なお,当法律事務所では,法人,個人事業主の破産に対し,特に力を入れて対応しており,法人・事業主破産の専門サイトも開設しております。

1 法人・個人事業主の破産(破産管財事件)について

法人及び法人の債務を連帯保証している代表取締役,並びに個人事業主について,事業の不振等,銀行,保証協会,消費者金融,信販会社,取引先の債務(買掛金,下請けの請負代金等),従業員の賃金等,支払いが困難になった場合,破産管財事件という自己破産手続きを取ることになります。

個人の破産申立ての場合,同時廃止事件という自己破産の申立てを行います。
破産管財事件と同時廃止事件との違いは,破産管財人が就いて,破産事件の調査を行うかどうかが大きな違いになります。

すなわち,個人の同時廃止事件というのは,破産申立てを行った後,裁判所が破産申立書を審査した結果,破産手続き開始決定という決定を出すと同時に,破産手続き廃止決定という決定を出します。(開始と)同時に廃止するため,同時廃止事件というのです。ここで「廃止」という法律用語の意味内容ですが,終了させるという意味でお考えください。

これに対し,破産管財事件の場合,破産申立てを行った後,破産手続き開始決定が出るところまでは同時廃止と同様で,開始決定時,破産管財人を選定することになり,開始決定時の約3ヶ月後,債権者集会の期日が決定し,その間,破産管財人の調査が行われることになります。

このように,法人,その代表者や個人事業主が破産管財事件になる理由は,利害関係人が多数いることや,サラリーマンのように給料が銀行口座へ振り込まれ財産を容易に把握できる状況と違い,財産の内容についても慎重に調べる必要があることから,破産管財人による調査を行うことになるのです。

2 破産管財事件になる場合について

破産管財事件になる事案について,法人の自己破産を行う場合,法人と同時に法人の代表者の自己破産を行う場合,個人事業主の自己破産を行う場合が代表例として挙げられます。

通常,法人の破産申立てを行う場合,代表者も連帯保証をしており,多額の負債を抱えているケースが大半であり,法人及び代表者をワンセットで自己破産申立てを行うことになります。

破産管財事件になった場合,裁判所から選任される破産管財人の費用について,自己破産を申し立てる者の負担になります。

大阪の場合,管財人の費用の最低額が20万5000円になっていますが,法人と代表者との同時申立てを行うと,法人については20万5000円が適用されますが,代表者についてはプラス5000円,合計21万円という運用がなされております。

ただ,この運用は大阪地方裁判所管轄内のみですので,例えば,法人の所在地が神戸で神戸の裁判所へ申し立てるという場合,法人及び代表者の破産申立てで,1件あたり20万5000円の2件分として41万円が必要になります。破産管財人の費用について,各地の裁判所により大きな違いがあります。

一般的に大阪のような大都市は安価で,地方都市になると高額になる傾向があります。

ちなみに,法人及び代表者の自己破産申立てについて,申立て先となる管轄裁判所の判断方法として,法人の本店所在地が管轄裁判所になります。

以上のような,法人や事業者と全く異なった視点で,個人の方であっても,20万円以上の財産を持っているような場合,財産を残すために破産管財事件を利用することもあります。詳細については,次の自由財産拡張制度でご説明致します。

その他,個人であっても,保証債務,住宅ローンを除いた債務が3000万円以上ある場合,偏頗行為・財産減少行為の存在が疑われ,否認権行使の可否を判断する必要がある場合,破産管財事件になります。

3 自由財産拡張制度について

個人の自己破産の場合,特に財産がなければ同時廃止手続きを申し立てることにより,破産管財人の調査等を受けず,簡易な手続きで破産を進めることができます。

ただ,個人であっても,預貯金,保険の解約金,自動車,敷金,退職金,過払い金等の財産があり,その金額が20万円以上の場合,債権者の配当に回すことを回避して,お手元に財産を残すため,破産管財事件の申立てを行うことがあります。

破産管財事件の申立てを行うと,自由財産の拡張という制度が適用され,預貯金,保険の解約金,自動車,敷金,退職金,過払い金等の財産の合計額99万円まで,お手元に残してもよいという99万円の枠がもらえることになります。

この自由財産拡張という制度は,破産管財事件のみに適用されるため,同制度利用のための破産管財事件利用ということがスキームとして考えられるのです。

ちなみに,自由財産拡張制度で残すことができる財産は, 預貯金,保険の解約金,自動車,敷金,退職金,過払い金等の財産になり,ご自宅などは残すことができません。

4 破産管財事件の手続きの流れについて

破産管財事件の手続きの流れについて,自己破産申立てを行うところまでは,同時廃止案件と大きな違いがありません。すなわち,弁護士が依頼を受けた後,各債権者へ受任通知を発送し,取り立てを止めてから,債権調査を行い,破産申立書を作成して,裁判所へ,申立てを行うということになります。

ただ,法人や個人事業主の場合,債権者のうち,金融機関や消費者金融,信販会社等,業者からの取り立ては,弁護士介入により完全に止まりますが,取引先等の方々がご自宅等へ,取立てのため訪問するようなケースがたまにあります。

そのため,債権者の属性や,自己破産に入った場合に予想される対応などを検討したうえで,弁護士介入時点で慎重な対応を行う必要もあります。かかる対応については個別にご相談頂きましたら,対策をお話させていただきます。

裁判所へ,破産申立書を提出した後,破産管財人が選任され,その後,破産管財人のところへ出向いて,面談を行うことになります。面談の際,破産管財人から,疑問点等を質問され,調査が続行していくことになります。

破産申立てを行った場合,破産管財人からの質問には回答しないといけない義務が生じますので,誠実に対応をし,追加の資料を提出したり,書面での回答を行ったりします。

そして,破産手続き開始決定時から約3ヶ月後,第1回債権者集会が開催されることになります。

債権者集会とは,文字どおり,債権者が裁判所へ出頭して,事情を説明する会のことをいいますが,通常,金融機関等,業者の債権者は,債権者集会に出頭することはありませんので,裁判官,破産管財人,破産者と破産申立代理人のみが出頭し,短時間で終わることが大半です。

第1回債権者集会までに,特に,債権者の配当に回せるような財産がないことが明らかであれば,破産手続きは,第1回債権者集会で廃止(終了)し,同日,免責決定が出ることになります。

これに対し,債権者への配当財産が見込まれる場合,特に,ご自宅等不動産を有している場合には,破産手続きが続行し,さらに3ヶ月後,第2回債権者集会という形で,以降も3ヶ月に1度のペースで債権者集会が開催されることになります。

そして,最終的に,債権者への配当が実施されるか,あるいは配当不能が明らかになれば,破産手続きが廃止になり,免責決定が出ることになります。

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